社会保険労務士・行政書士 岩丸総合法務事務所
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組織変更検討 協同組合から株式会社へ組織変更するにあたり、その必要性、メリット、デメリットなどを検討します。さらには関係機関等との事前協議や相談することをお勧めします。また、総会においてスムーズに決議されるために、事前に組合員に対する説明会を開催することが望ましいですが、その際に必要となる説明用資料(なぜ会社化するのか)や想定問答集などをこのときに作成します。
組織変更計画書作成 組織変更計画の記載事項は「中小企業団体の組織に関する法律」第100条の4第5項に定められております。なお、このときはまだ「案」の段階ですが、取り敢えず新会社の取締役等も決めておきます。
新会社定款作成 新会社の定款の案を作成します。株式会社の定款は協同組合の定款と異なる部分が多々あります(機関設計や株式の譲渡制限など)ので、組合内に詳しい方がいない場合は専門家に相談しながら進めることが望ましいでしょう。また、新社名もできればこの段階で決めた方がいいでしょう。
理事会開催 ここでは組織変更決議のための総会の開催を決定します。
総会招集通知 組織変更決議の総会の招集通知を発します。ここで注意が必要なのは「組織変更に反対する書面」を同封することです。協同組合を株式会社に組織変更することに反対する組合員は、総会に先立って組織変更に反対する意思を組合に通知しなければなりません。そのための書面を総会の招集通知に同封するのです。ちなみにあらかじめこの反対書面を通知しない組合員は総会の場で反対することはできません。
官報公告 この段階で一度官報に組織変更の公告をします。
総会開催 ここで「組織変更計画書」「定款」について承認をもらいます。この承認には議決権の総数の過半数の議決権数を有する組合員が出席し、その議決権の3分の2以上の多数による議決が必要となります。また新会社の取締役等となるべき者もこのとき選任されます。
取締役開催 新会社が取締役会設置会社となる場合は、この段階で代表取締役を選任します。なお、代表取締役は総会で選任するのではなく、あくまでも取締役会で取締役の中から選任することになりますのでご注意下さい。
公告 組織変更の議決の日から2週間以内に「議決の内容(組織変更計画書の要領、組織変更後の会社の定款)」「貸借対照表」を公告します。また、債権者保護手続きも同時に行い、知れたる債権者に対しては各別に催告をしなければなりません。ここでの公告は官報に限らず、組合の定款に定めている方法により行います。
持分の払戻し請求 総会に先立って組織変更に反対する意思を書面にて通知した組合員は、組織変更の議決の日から20日以内に書面をもって持分の払戻しを請求することにより、株式会社の効力発生日に組合を脱退することができます。なお、この持分の払戻しは定款の定めにかかわらず全額払い戻す必要があります。
設立登記 登記に必要な書類を法務局に持参し「株式会社設立の登記」「協同組合解散の登記」をすることになります。なお、従来は登記をすることによって組織変更の効力が発生するとされていましたが、現在は効力発生日をもって組織変更の効力が発生することになっております。ちなみに法務局によっては、このような事案を処理したことがないところもあるようなので(当事務所で受任した案件も管轄法務局の担当者から初めての事案だと言われ苦労した経験があります)、できれば事前に必要書類を持参のうえ管轄法務局を訪問して確認することをお勧めします。
組織変更届出 最後に組織変更した旨を遅滞なく行政庁(協業組合の場合は主務大臣)に届け出ます。これを怠ると役員は100万円以下の過料に処せられます。
書面の備え置き 会社の取締役は、組織変更の議決の手続の経過、組織変更の日、その他の組織変更に関する事項を、組織変更の日から6ヶ月間本店に備え置かなければなりません。

組織変更

◎根拠法
 中小企業団体の組織に関する法律

◎協同組合から株式会社への組織変更のメリット
 ・協同組合では資金調達手段が限られているが、株式会社は株式発行、社債発行などができる。
 ・協同組合は事業制限があり目の前のビジネスチャンスを逃す懸念があるが、株式会社は無制限。
 ・株式会社であれば、他の組織との統合や合併などの組織再編が柔軟にできる。

◎協同組合から株式会社への組織変更のデメリット
 ・中小企業組合関係税制の適用を受けることができなくなる。
 ・取引先や提携先など周囲の見方が従来以上に厳しくなる。
 ・手間、時間、費用がかかる。

◎手順
  組織変更検討 ⇒ 組織変更計画書作成 ⇒ 新会社定款作成 ⇒ 理事会開催
  ⇒ 総会招集通知 ⇒ 官報公告 ⇒ 総会開催(組織変更決議)
  ⇒ 設立途中の会社の取締役会開催 ⇒ 定款所定の公告
  ⇒ 組織変更反対組合員の持分払戻し請求 ⇒ 設立登記
  ⇒ 組織変更届出 ⇒ 書面の備え置き

◎各手順についての注意

 法人組織の変更には、以下のとおり様々なパターンがあります。

 有限会社 ⇒ 株式会社  株式会社 ⇒ 合同会社  協同組合 ⇒ 株式会社  など

 法人組織を変更し別の法人にするにはそれぞれ理由があるわけですが、手続上は原則として「出資者の同意」「債権者保護手続」などが必要となります。

 

 以上のような手続きをふむことになります。

 前述のように、法人の組織変更には有限会社から株式会社などのように、ごく一般的なものもあれば、上記のような協同組合から株式会社への変更のように特殊なものまでさまざまです。

 当事務所では、他の事務所では扱わない「協同組合から株式会社への組織変更」といった特殊なパターンも扱いますので、日本全国どこでも対応致します。

 お気軽にご相談下さい。

 
 なお、以下のように持分会社から他の持分会社に組織変更する場合は、原則として定款の変更程度で対応できます。

 合名会社 ⇒ 合資会社  合名会社 ⇒ 合同会社
 合資会社 ⇒ 合同会社  合資会社 ⇒ 合名会社

 など

 ちなみに、平成18年商法改正により新たに有限会社を設立したり、他の法人から有限会社に組織変更することはできなくなりました。

 ただし、現在ある有限会社は「特例有限会社」として存続することが認められております。

 ここでは、数ある組織変更のうち当事務所が関与した中で最も煩雑だった「事業協同組合から株式会社」への組織変更(組合の会社化)について、その手順と注意点などを記載させていただきます。

【事業協同組合から株式会社への組織変更(組合の会社化)】

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